ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
アースガルズ
Ásgarðr
アース神族の神々が住む所。中ほどのイザヴォッルに神々の館が建ち、巨人の職人が城壁を築いた話や、巨人スィアチやフルングニルが門の内へ入りこむ話の舞台になる。
神々の町
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、ボルの息子たちは人間を作ったあと、世界の中ほどに自分たちのための町を作った。それがアースガルズで、神々とその一族が住み、地上でも天でも多くの出来事が起こったという。オーディンが座って全世界を見渡す高座フリズスキャールヴも、アースガルズにある住まいの一つとして語られる。
アースガルズができたとき、オーディンは支配者たちを定め、町の中ほどのイザヴォッルで、十二の座のある館グラズスヘイムと、女神たちの館ヴィーンゴールヴを作らせた。神々は鍛冶場を建てて金を豊かに作り、その時代は黄金の時代と呼ばれた。
城壁と門
神々がミズガルズを定めヴァルハラを作ったはじめのころ、一人の職人が、山の巨人や霜の巨人を防ぐ城壁を一冬で築くと申し出た。牡馬スヴァジルファリの働きで城壁は期限の前にほとんど仕上がったが、ロキのはかりごとで報酬は払われず、職人は巨人と知られてトールに討たれた。
「詩語法」では、女神イズンをさらった巨人スィアチが鷲の姿で追ってきて、アース神族の門の内側で殺される。巨人フルングニルも、オーディンとの馬比べで気づかないうちにアースガルズの門の内へ入りこみ、神々の館で酒を飲んで大言を吐いた。
世界の終わりのあと
世界の終わりのあと、生き残ったヴィーザルとヴァーリは、かつてアースガルズのあったイザヴォッルに住む、と「ギュルヴィたぶらかし」は語る。
登場する物語
- 最初の人間アスクとエムブラ世界を作りあげた神々は、海辺で二本の木を見つけ、そこから最初の男と女を形づくる。命や知恵、言葉を授けられた二人から、人間の一族が始まった。
- バルドルの死――ヤドリギの矢不吉な夢を見たバルドルのため、フリッグはあらゆるものに彼を傷つけないと誓わせる。神々はその不死身を遊びにしたが、ただ一つ誓いを求められなかったヤドリギを、ロキが盲目のヘズに射させた。神々と人間に起きた最大の不幸と、その火葬までを語る。
- 神々の宝物が生まれた日――シヴの髪と小人の賭けロキがシヴの髪を切り落としたことから、小人たちの鍛冶場で神々の宝物が次々に生まれる。自分の首を賭けたロキと、ふいごを吹き続けた小人ブロック。最後に最もすぐれた宝と認められたのは、トールの槌だった。
- ヘルの国へ向かったヘルモーズバルドルを取り戻すため、ヘルモーズはスレイプニルに乗り、九夜をかけて死者の国へ向かう。ヘルが示した条件は、世界のすべてのものがバルドルのために泣くこと。ほとんどすべてが泣いたが、洞窟の女巨人だけが涙を拒んだ。
- イズンと林檎――老いていく神々鷲に捕らえられたロキは、放してもらう代わりに、林檎を守る女神イズンを神々の国の外へ誘い出すと誓う。イズンが連れ去られると、神々はたちまち老いはじめた。
- 詩の蜜酒――クヴァシルの血とオーディンの獲物飲む者を詩人や学者にする蜜酒は、殺された賢者クヴァシルの血から作られた。小人から巨人へ、巨人からオーディンへ――殺害と取引と策略を経て、蜜酒は神々のもとへ運ばれる。
- スカジとニョルズ――山と海の暮らし父スィアチの仇を討とうと武装してアースガルズへ来た女巨人スカジは、足だけを見て夫を選ぶことになる。選んだのは海の神ニョルズ。九夜ずつ山と海で暮らそうとした二人の、かみ合わない住まいの物語。
- トールとフルングニルの決闘――頭に残った砥石馬比べからアースガルズへ入りこみ、酔って大言を吐いた巨人フルングニル。トールは初めての一騎打ちに臨み、槌で巨人を倒すが、砕けた砥石のかけらは今もトールの頭に刺さったままだという。
- トールとヒュミルの大釜神々の宴の酒を醸すため、トールはテュールとともに巨人ヒュミルの大釜を求めて旅立つ。牡牛を平らげ、大蛇を釣り上げ、硬い杯を割り、ついに一マイルの深さの釜を頭にかついで帰る『古エッダ』の物語。
- トールの槌が盗まれた日雷神トールの槌ミョルニルが消えた。返還の条件は女神フレイヤとの結婚。神々が考えた奇策とは。
- 滅びのあとに生まれ変わる世界スルトの火が消えたあと、大地はふたたび緑のまま海から浮かび上がる。生き残った神々、死者の国から帰るバルドル、森に隠れて炎をしのいだ二人の人間、そして母の道をたどる太陽の娘。神々の黄昏のあとの世界を語る。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
