ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
フリズスキャールヴ
Hliðskjálf
オーディンの高座。ここに座ると全世界を見渡し、人々のすることがすべて見える。フレイはここに座ってゲルズを見つけ、オーディンはここからロキの隠れ場所を見つけた。
世界を見渡す座
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、アースガルズにはフリズスキャールヴという住まいがあり、万物の父オーディンがその高座に座ると全世界を見渡して、人々のすることを見、見たものすべてを知った。同じ書物の別の章は、神々が銀で葺いたオーディンの館ヴァラスキャールヴの中にこの高座があるとする。
『古エッダ』の「グリームニルの言葉」の冒頭の散文では、オーディンと妻フリッグがフリズスキャールヴに座って世界を見渡し、二人が育てた王子たちのその後を見比べて賭けをする。
高座での出来事
あるときフレイが、この高座に座って世界を見渡し、北の巨人の国で美しいゲルズを見つけた。その聖なる座に座った思い上がりの報いとして、フレイは深い悲しみに沈んだと「ギュルヴィたぶらかし」は語る。
バルドルの死のあと、神々を逃れて山に隠れたロキの居場所を、オーディンはフリズスキャールヴから見つけた。
登場する物語
- 最初の人間アスクとエムブラ世界を作りあげた神々は、海辺で二本の木を見つけ、そこから最初の男と女を形づくる。命や知恵、言葉を授けられた二人から、人間の一族が始まった。
- ロキの捕縛と罰バルドルを死なせ、ヘルから取り戻すことも妨げたロキは、神々の怒りを逃れて山に隠れ、鮭の姿で滝にひそむ。自分で考えた網の灰から居場所を見破られたロキは、トールの手に捕らえられ、神々の運命の時まで岩に縛られる。
- フレイとゲルズ――使者スキールニルの求婚世界を見渡す高座から巨人の娘ゲルズを見たフレイは、恋に苦しむ。馬と剣を借りた従者スキールニルは炎を越えて巨人の館へ行き、黄金の林檎と腕輪、剣の脅し、そして恐ろしい呪いの言葉で、ついに会う約束を取りつける。
- グリームニルの試練と王の結末オーディンとフリッグの賭けから、名を明かさない旅人グリームニルは王ゲイルロズに捕らえられ、二つの火のあいだで八夜を過ごす。一杯の角杯をくれた王子にだけ報い、神々と世界の秘密を語り終えたとき、客は自分の本当の名を告げる。
- 世界樹ユグドラシル――三本の根と三つの泉枝は全世界に広がり、天の上にまで届く大きなとねりこ、ユグドラシル。三本の根の下にある泉、木に住む生き物たち、運命を定めるノルン、そして天にある神々とエルフの住まいをたどる。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。
