NORSE · STORY

最初の人間アスクとエムブラ

世界を作りあげた神々は、海辺で二本の木を見つけ、そこから最初の男と女を形づくる。命や知恵、言葉を授けられた二人から、人間の一族が始まった。

海辺の二本の木

ユミルの体から大地と海と天ができあがり、太陽や星が空に置かれ、昼と夜の区切りも定まった(物語「ユミルの体から作られた世界」)。では、この世界に住む人間はどこから来たのか。

ある日、ボルの息子たち――オーディンとその兄弟――が海辺を歩いていると、二本の木が見つかった。三人はその木を取り上げ、人の形に作りあげた。

三つの贈り物

一人目は、二人に霊と命を与えた。

二人目は、知恵と感覚を与えた。

三人目は、姿と言葉、それに耳と目のはたらきを与えた。

さらに神々は二人に衣服を着せ、名前をつけた。男はアスク、女はエムブラと呼ばれた。

この二人から人間の一族が生まれ、ミズガルズのもとに住まいを与えられた。ミズガルズは、神々が巨人たちの敵意に備えて、ユミルのまつげで大地の内側にめぐらせた砦である。

神々の都

人間の住まいを定めると、神々は世界の真ん中に、自分たちのための都を作った。それがアースガルズである。神々とその一族はそこに住み、天でも地でも多くの出来事がそこから起こった。

アースガルズには、フリズスキャールヴと呼ばれる座所がある。万物の父オーディンがその高座に座ると、全世界を見渡し、すべての人の行いを見て、見たものすべてを知ることができた。オーディンの妻は、フィョルギュンの娘フリッグである。


出典について:本稿は『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」第9章に基づく再話です(英訳は A・G・ブロデュール訳、1916年)。原典は三つの贈り物を与えた者を「一人目・二人目・三人目」とだけ書き、三兄弟のうち誰が何を与えたかは示していません。同じ章は、アースガルズを「人はトロイアと呼ぶ」とも記しています。『古エッダ』の「巫女の予言」17〜18節(H・A・ベロウズ訳、1923年)では、話が少し異なります。神々の住まいから出たオーディン、ヘーニル、ローズルの三人が、陸の上で、まだ力も運命ももたないアスクとエムブラを見つけ、オーディンが魂を、ヘーニルが感覚を、ローズルが温かみとよい顔色を与えます。ベロウズの訳注は、二人の名を「とねりこ」と「にれ」の意と説明しています。

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出典・資料