ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
ミズガルズ
Miðgarðr
人間の住む所。神々が巨人ユミルのまつげで、巨人の敵意に備える囲いとして築いた。そのまわりの海には大蛇ヨルムンガンドが横たわる。
人の住む囲い
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、ボルの息子たちは巨人ユミルの体から大地と海と天を作った。大地は外側が輪の形で、そのまわりを深い海が取り巻いている。神々は海辺の土地を巨人たちの住まいとして与え、内側の大地には、巨人の敵意に備えてユミルのまつげで囲いを築いた。それがミズガルズである。『古エッダ』の「グリームニルの言葉」も、神々がまつげからミズガルズを作って人の子らに与えたとうたう。
神々が最初の人間アスクとエムブラを作ると、人間の一族はミズガルズの内に住まいを得た、と同じ書物は語る。
ミズガルズと物語
オーディンが海へ投げこんだロキの子の大蛇は、大洋の中ほどで陸地をぐるりと取り巻くほどに育ち、「ミズガルズの大蛇」と呼ばれる。「詩語法」はトールを「アースガルズとミズガルズの守り手」と言い換える。
巨人の職人がアースガルズの城壁を申し出たのは、神々がミズガルズを定めたはじめのころで、職人は、山の巨人や霜の巨人がミズガルズを越えて攻めてきても防げる城壁を約束した。
登場する物語
- 神々の城壁を築いた者――太陽と月を求めた職人一冬で城壁を築く代わりに、女神フレイヤと太陽と月を求めた職人。工事が期限の前に仕上がりそうになると、神々はロキを脅して取り決めを壊させる。オーディンの馬スレイプニルの生まれを語る話。
- 最初の人間アスクとエムブラ世界を作りあげた神々は、海辺で二本の木を見つけ、そこから最初の男と女を形づくる。命や知恵、言葉を授けられた二人から、人間の一族が始まった。
- ユミルの体から作られた世界ボルの三人の息子は原初の巨人ユミルを倒し、その体を材料に大地と海と天を形づくる。血の洪水を生き延びた巨人の夫婦、天を支える四人の小人、人間のための砦ミズガルズまでをたどる。
- フレイヤとヒュンドラ――オッタルの系譜女神フレイヤは洞窟の女巨人ヒュンドラを起こし、お気に入りの若者オッタルの先祖を語らせる。金の猪に乗る女神と、皮肉を返す女巨人。長い系譜と小さな世界の予言のあと、二人は激しい言葉を交わして別れる。
- トールとヨルムンガンドの釣り対決若者の姿で巨人ヒュミルの家に泊まったトールは、牛の頭を餌に沖へ漕ぎ出す。釣り上げたのは、世界を取り巻くミズガルズの大蛇だった。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。
