NORSE · STORY

スカジとニョルズ――山と海の暮らし

父スィアチの仇を討とうと武装してアースガルズへ来た女巨人スカジは、足だけを見て夫を選ぶことになる。選んだのは海の神ニョルズ。九夜ずつ山と海で暮らそうとした二人の、かみ合わない住まいの物語。

武装してきた娘

巨人スィアチは、イズンと林檎をさらったために、アース神族の手で殺された(物語「イズンと林檎――老いていく神々」)。

スィアチの娘スカジは、兜をかぶり、鎖帷子を着て、あらゆる武具を身につけた。そして父の仇を討つために、アースガルズへ向かった。

アース神族は、スカジに和解と償いを申し出た。

足だけを見て選ぶ夫

償いの第一の条件は、スカジがアース神族のなかから自分の夫を一人選ぶことだった。ただし、相手の足だけを見て選び、それより上は見てはならない。

スカジは、とても美しい一人の足を見て言った。この人を選びます。バルドルなら、いやなところなどほとんどないでしょうから。

ところがその足の持ち主は、ノーアトゥーンのニョルズだった。

スカジを笑わせる

和解の条件には、もう一つ、アース神族にはとてもできないだろうとスカジが思うことが含まれていた。自分を笑わせることである。

そこでロキがやってのけた。ロキは山羊のひげに紐を結び、紐のもう一方の端を自分の股間に結びつけた。山羊とロキが互いに引っぱり合い、かわるがわる引かれるたびに、どちらも大きな悲鳴をあげた。それからロキはスカジの膝の上に倒れこんだ。スカジは笑った。

こうして、アース神族とスカジのあいだに和解が成った。

さらにオーディンは、スカジへの償いとして、スィアチの両目を天へ投げ上げ、二つの星にしたという。

九夜ずつの約束

こうしてニョルズの妻となったスカジは、父がかつて住んでいた館に住みたいと望んだ。それはスリュムヘイムという、山の上の土地にあった。けれどもニョルズは、海のそばにいたかった。ニョルズの住まいは、天にあるノーアトゥーンである。

そこで二人は取り決めをした。九夜をスリュムヘイムで過ごし、次の九夜をノーアトゥーンで過ごす、と。

狼と白鳥、かもめと山

ところが、ニョルズは山からノーアトゥーンへ戻ってくると、こう歌った。

山はいやだった。長くはいなかった、たった九夜。白鳥の歌を聞いたあとでは、狼の遠吠えがいやに思えた。

スカジは、こう歌った。

海辺の寝床では眠れなかった。水鳥の鳴き声のせいで。毎朝、海から来るかもめが、わたしを起こすのだ。

それからスカジは山へ上り、スリュムヘイムに住んだ。たいてい雪靴を履いて歩き、弓と矢で獣を射る。そのため雪靴の女神、雪靴の女主人と呼ばれている。古い詩はうたう。

スリュムヘイムと呼ばれる所、醜い巨人スィアチが住んだ所。いまは神々の清らかな花嫁スカジが、父の古い屋敷に住んでいる。


出典について:本稿の前半(スカジの来訪、夫選び、ロキの笑わせ、スィアチの目の星)は『散文のエッダ』「詩語法」第I節、後半(九夜ずつの暮らしと二人の歌)は同じ書の「ギュルヴィたぶらかし」第23章に基づく再話です(英訳は A・G・ブロデュール訳、1916年)。二つの章は別々の文脈でこの話を語っていて、互いを参照してはいません。「詩語法」では詩の神ブラギが海の神エーギルに、「ギュルヴィたぶらかし」ではハールがガングレリに語ります。「ギュルヴィたぶらかし」は、スカジが山に住んだとだけ書き、二人が別れたとは明言していません。

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