ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
イズン
Iðunn
ブラギの妻で、神々が老いたときに味わう林檎を守る女神。ロキに誘い出され、巨人スィアチに連れ去られたことがある。
林檎を守る女神
イズンは、知恵と弁舌に名高く、詩作に最も通じたアース神族の神ブラギの妻である。『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、イズンはとねりこの箱に林檎をしまって守っている。神々は老いてくると、この林檎を味わい、みな若返る。それは神々の運命の時まで続くという。
同じ箇所で、問いかける者が、神々はイズンにずいぶん大事なものを託しているものだと言うと、語り手は笑って、それが危うくなったことが一度ある、と答えている。
「詩語法」の冒頭でも、宴の席に並ぶ女神たちのなかにイズンの名が挙げられている。
連れ去られたイズン
「詩語法」の冒頭で語られる話では、旅の途中で鷲に捕らえられたロキが、放してもらう代わりに、イズンを林檎とともにアースガルズの外へ誘い出すと誓わされた。ロキは、すばらしい林檎を見つけたので自分の林檎と比べてみてほしいと言って、イズンを森へ連れ出した。そこへ、鷲の羽衣を着た巨人スィアチが来て、イズンをつかみ、自分の住まいスリュムヘイムへ飛び去った。
イズンがいなくなると、アース神族はたちまち白髪になり、老いていった。
イズンと最後に出かけたのがロキだとわかると、神々はロキを死か責め苦かで脅した。ロキはフレイヤから鷹の羽衣を借りてスィアチの家へ飛び、イズンを木の実の姿に変えて爪につかみ、飛び帰った。追ってきたスィアチは、神々が城壁のそばで燃やした火に羽を焼かれ、神々に討たれた。
登場する物語
- イズンと林檎――老いていく神々鷲に捕らえられたロキは、放してもらう代わりに、林檎を守る女神イズンを神々の国の外へ誘い出すと誓う。イズンが連れ去られると、神々はたちまち老いはじめた。
- ロキの口論――エーギルの宴の騒動海の巨人エーギルの館の宴に、追い出されたロキが戻ってくる。席を求めたロキは、神々と女神たちに次々と悪口を浴びせ、最後に現れたトールの槌の脅しの前で、ようやく館を去る。『古エッダ』の「ロキの口論」。
- スカジとニョルズ――山と海の暮らし父スィアチの仇を討とうと武装してアースガルズへ来た女巨人スカジは、足だけを見て夫を選ぶことになる。選んだのは海の神ニョルズ。九夜ずつ山と海で暮らそうとした二人の、かみ合わない住まいの物語。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
