ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
ノルン
Nornir
人の一生を定める女たち。ウルズの泉のそばに住むウルズ、ヴェルザンディ、スクルドの三人のほか、子どもが生まれるたびにやって来て、その一生を定めるノルンたちがいる。
泉のそばの三人
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、ウルズの泉のそばのとねりこの下に美しい館があり、そこからウルズ、ヴェルザンディ、スクルドの三人の乙女が出てくる。この乙女たちは人の一生の長さを定め、ノルンと呼ばれる。ノルンたちは毎日泉の水と泥を取って世界樹に注ぎ、枝が枯れたり腐ったりしないようにしている。『古エッダ』の「巫女の予言」も、木の下の住まいから来た三人の乙女が掟を定め、人の子らの命を割り当て、その運命を定めたとうたう。
多くのノルン
同じ書物は、ノルンはこの三人だけでなく、子どもが生まれるたびにやって来てその一生を定めるノルンが多くいると語る。神々の一族の者もいれば、エルフの一族の者、小人の一族の者もいる。よいノルンは人によい一生を定めるが、悪い一生を送る人は悪いノルンのせいだという。ヴァルキューリアのうち最も若いノルンのスクルドが、戦死者を選びに馬で出かけるとも語られる。
英雄詩「フンディング殺しのヘルギの歌 第一」では、ヘルギが生まれた夜にノルンたちが来て、最も名高い戦士、最良の王となるよう運命の糸を織り、金の糸を月の館に固めた。
登場する物語
- アンドヴァリの黄金と呪い――カワウソの償い神々がカワウソと思って殺したのは、レギンの兄弟オッタルだった。父フレイズマルが求めた償いは、皮を黄金で満たし覆うこと。ロキが小人アンドヴァリから奪った黄金と腕輪には、持つ者すべてを滅ぼす呪いがかけられていた。
- 眠る戦乙女とシグルズヒンドフェルの山上に燃える火の中、盾をめぐらせた砦で、武装したまま眠る者がいた。シグルズが鎖帷子を裂くと、目覚めたのはオーディンに眠らされた戦乙女ブリュンヒルドだった。乙女はルーンの知恵と生きるための忠告を授け、二人は誓いを交わす。
- シグルズと竜ファーヴニル竜ファーヴニルが水を飲みに這う道で、シグルズは穴を掘って待ち伏せる。現れた老人の助言どおり血を流す穴をいくつも掘り、グラムで竜の心臓を突いた。死にゆく竜は名を問い、黄金の呪いを告げ、二人は最後の問答を交わす。
- ゴート族とフン族の戦い父ヘイズレクの仇を討ち魔剣テュルヴィングを取り戻したアンガンチュールのもとへ、フン族の王の孫である異母兄弟フレズが遺産の半分を求めに来る。「女奴隷の子」という一言から始まった大戦争で、姉妹ヘルヴォルは倒れ、兄弟はついに剣を交える。
- ヘルギとシグルーン――戦いと婚姻ノルンたちに運命を織られて生まれたシグムンドの子ヘルギは、十五歳でフンディング王を討つ。望まぬ婚約から逃れたいヴァルキューリアのシグルーンに頼まれ、ヘルギは大船団で嵐の海を渡り、フレカステインの戦いに勝つ。けれども、その勝利には大きな代償があった。
- ノルナゲストと命の蝋燭キリスト教の王オーラヴ・トリュッグヴァソンの宮廷に、ゲストと名のる不思議な客が現れる。シグルズに仕え、古い英雄たちの宮廷を渡り歩いたという男は、生まれたときノルンに定められた運命――蝋燭が燃えつきるまでの命――を語り、最後に自分の蝋燭に火をつけさせる。
- 世界樹ユグドラシル――三本の根と三つの泉枝は全世界に広がり、天の上にまで届く大きなとねりこ、ユグドラシル。三本の根の下にある泉、木に住む生き物たち、運命を定めるノルン、そして天にある神々とエルフの住まいをたどる。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。
