ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
エルフ
Álfar
神々や人とは別の種族。天のアールヴヘイムに住む太陽より美しい光のエルフと、地中に住む瀝青より黒い暗いエルフがいる。黒いエルフの国では、神々の宝や縛めが作られた。
光のエルフと暗いエルフ
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、天にはアールヴヘイムという所があり、光のエルフと呼ばれる者たちが住む。一方、暗いエルフは地中に住み、姿は似ておらず、性質はさらに大きく異なる。光のエルフは太陽より美しく、暗いエルフは瀝青より黒い。同じ書物は、天の南の上の館ギムレーには、今は光のエルフだけが住んでいると考えられているとも語る。『古エッダ』の「グリームニルの言葉」は、アールヴヘイムを神々が昔フレイに与えた住まいとしてうたう。
黒いエルフの国
神々が狼フェンリルを縛るための紐グレイプニルを作らせたとき、オーディンはフレイの使いスキールニルを、黒いエルフの国の小人たちのもとへ遣わした。「詩語法」では、シヴの髪を切ったロキが、黒いエルフにほかの髪と同じように伸びる金の髪を作らせると誓い、イーヴァルディの息子たちと呼ばれる小人のもとへ行く。
人の運命を定めるノルンのなかにはエルフの一族の者もいる、と「ギュルヴィたぶらかし」は語る。物語では、神々とエルフが並べて呼ばれることも多い。
登場する物語
- フェンリルを縛った紐――テュールの右手日ごとに大きくなる狼フェンリルを、神々は鉄の戒めで縛ろうとしたが果たせない。最後に用いたのは、絹のように柔らかな紐と、一人の神が差し出した右手だった。
- シグルズと竜ファーヴニル竜ファーヴニルが水を飲みに這う道で、シグルズは穴を掘って待ち伏せる。現れた老人の助言どおり血を流す穴をいくつも掘り、グラムで竜の心臓を突いた。死にゆく竜は名を問い、黄金の呪いを告げ、二人は最後の問答を交わす。
- フレイとゲルズ――使者スキールニルの求婚世界を見渡す高座から巨人の娘ゲルズを見たフレイは、恋に苦しむ。馬と剣を借りた従者スキールニルは炎を越えて巨人の館へ行き、黄金の林檎と腕輪、剣の脅し、そして恐ろしい呪いの言葉で、ついに会う約束を取りつける。
- 神々の宝物が生まれた日――シヴの髪と小人の賭けロキがシヴの髪を切り落としたことから、小人たちの鍛冶場で神々の宝物が次々に生まれる。自分の首を賭けたロキと、ふいごを吹き続けた小人ブロック。最後に最もすぐれた宝と認められたのは、トールの槌だった。
- ロキの口論――エーギルの宴の騒動海の巨人エーギルの館の宴に、追い出されたロキが戻ってくる。席を求めたロキは、神々と女神たちに次々と悪口を浴びせ、最後に現れたトールの槌の脅しの前で、ようやく館を去る。『古エッダ』の「ロキの口論」。
- ノルナゲストと命の蝋燭キリスト教の王オーラヴ・トリュッグヴァソンの宮廷に、ゲストと名のる不思議な客が現れる。シグルズに仕え、古い英雄たちの宮廷を渡り歩いたという男は、生まれたときノルンに定められた運命――蝋燭が燃えつきるまでの命――を語り、最後に自分の蝋燭に火をつけさせる。
- 風の木に吊られたオーディン――ルーンと十八の歌オーディンは風の吹く木に九夜吊り下がり、槍に傷つき、自分自身への捧げ物となって、叫びながらルーンを手にした。『古エッダ』の「高き者の言葉」で、神自身が語る知恵の獲得と、そのあとに数えあげられる十八の歌。
- トールと小人アルヴィースの問答トールの留守に娘との婚約を取りつけた小人アルヴィースが、花嫁を迎えにやって来る。トールは、すべての世界での物の呼び名を答えられたら許すと言い、夜通し問いを重ねる。答えはすべて正しかったが、気づけば広間には朝日が差していた。
- 鍛冶師ヴェルンドの復讐と脱出白鳥の衣の妻に去られ、ひとり腕輪を作って帰りを待っていた鍛冶の名手ヴェルンドは、王ニーズズに捕らえられ、膝の腱を切られて島で働かされる。ヴェルンドは王の子らに恐ろしい復讐を果たし、空へと逃れた。『古エッダ』が伝える苛烈な物語。
- 世界樹ユグドラシル――三本の根と三つの泉枝は全世界に広がり、天の上にまで届く大きなとねりこ、ユグドラシル。三本の根の下にある泉、木に住む生き物たち、運命を定めるノルン、そして天にある神々とエルフの住まいをたどる。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。
