NORSE · STORY
剣グラムとグリーピルの予言
レギンの鍛えた剣は二度とも金床で折れた。シグルズが母から父の折れた剣のかけらを受け取ると、レギンは刃に炎が走るような剣を鍛えあげる。剣グラムを得たシグルズは、伯父グリーピルを訪ねて自分の運命のすべてを聞く。
二度折れた剣
レギンは剣を一振り作って、シグルズに渡した(物語「アンドヴァリの黄金と呪い――カワウソの償い」)。シグルズはそれを受け取り、言った。レギン、これがおまえの鍛冶の腕か。そして剣を金床に打ちおろした。剣は折れてしまった。シグルズは折れた剣を投げ捨て、もっとよいものを作れと言った。
レギンはもう一振りの剣を鍛えて、シグルズのもとへ持ってきた。鍛冶にうるさい主人でも、これなら満足するだろう、とレギンは言った。シグルズは試してみたが、一振り目と同じように折れてしまった。シグルズは言った。おまえも、前の親族たちと同じように、裏切り者のうそつきなのではないか。
父の剣のかけら
それからシグルズは母のもとへ行った。母は息子をふさわしく迎え、二人は語り合い、ともに飲んだ。シグルズは言った。
シグムンド王が名剣グラムを二つに折れたまま母上に渡したと聞いたのは、本当ですか。
本当です、と母は言った。
それなら、わたしにください。わたしはそれがほしいのです。
母は、この子は大きな名声を得るだろうと言って、剣を渡した(物語「シグムンドの最後の戦いと折れた剣」)。
刃に走る炎
シグルズはレギンのもとへ行き、これでできるかぎりよい剣を作れと命じた。レギンは腹を立てたが、剣のかけらを持って鍛冶場に入った。シグルズは鍛冶のことにずいぶん首を突っこんでくるものだ、と思いながら。
こうしてレギンは剣を作った。炉から取り出したとき、鍛冶たちの目には、その刃に沿って火が燃えているように見えた。レギンはシグルズに剣を手渡し、これがだめなら、わたしは剣の作り方を知らないということだと言った。
シグルズは剣を金床に打ちおろした。剣は金床を台まで切り裂き、割れも折れもしなかった。シグルズはこの剣を大いにほめた。それから羊毛の房を一つ持って川へ行き、それを流れに逆らって投げた。羊毛は流れてきて剣に当たり、二つに切れた。シグルズは喜んで家へ帰った。
レギンは言った。剣を作ってやったのだから、誓ったとおりファーヴニルに向かってくれるだろうな。
シグルズは言った。きっと誓いは守る。だが、その前に父の仇を討たねばならない。
シグルズは年を重ねるほど、すべての人に愛されるようになり、子どもたちはみな彼を慕った。
伯父グリーピルの予言
シグルズの母の兄弟に、グリーピルという男がいた。先のことと、人に定められた運命を知る者だった。剣を鍛えてまもなく、シグルズはグリーピルを訪ね、自分の一生がどうなるのかを熱心に尋ねた。
グリーピルはなかなか口を開かなかった。けれどもシグルズがあまりに強く頼むので、ついに、シグルズの一生とその運命のすべてを語った。それはのちに、そのとおりになったのである。
すべてを聞き終えると、シグルズは家へ帰った。まもなくレギンに会うと、レギンは言った。約束どおり、ファーヴニルを殺しに行け。
シグルズは言った。それはなしとげる。だが、先にすべきことがある。シグムンド王と、あの最後の戦いで倒れた一族の仇を討つことだ。
出典について:本稿は『ヴォルスンガ・サガ』第15〜16章に基づく再話です(英訳はエイリークル・マグヌーソンとウィリアム・モリスの訳、H・H・スパーリング編、1888年)。英訳では伯父の名は Grifir ですが、注のとおり『古エッダ』での呼び名グリーピル(Grípir)に合わせました。グリーピルが語った予言の中身は、サガのこの章には書かれていません。その予言を詩の形で伝えるのが『古エッダ』の「グリーピルの予言」ですが、今回はこの詩との照合は行っていません。
出典・資料
- 『ヴォルスンガ・サガ』 — I–XLIII。1888年版の章立てを起点とする
