ENCYCLOPEDIA · 北欧神話

ファーヴニル

Fáfnir

フレイズマルの長男で、レギンの兄。カワウソの償いとして神々が払った黄金を独り占めにするため父を殺し、竜となって宝の上に横たわった。グニタヘイズでシグルズに倒された。

黄金のために竜となった兄

ファーヴニルは、フレイズマルの長男である。弟に、カワウソの姿で暮らすオッタルと、鍛冶のレギンがいた。オーディン、ロキ、ヘーニルがオッタルを殺してしまうと、フレイズマルは償いとして黄金を求め、ロキが小人アンドヴァリから奪った黄金と腕輪がそれに当てられた。

『ヴォルスンガ・サガ』では、レギンがシグルズにこう語る。ファーヴニルは父を殺し、黄金を誰にも分け与えず、ひどく悪くなって荒野に横たわるようになり、最悪の竜となって今も宝の上にうずくまっている。『散文のエッダ』「詩語法」は、父を殺したのは兄弟二人だったとし、ファーヴニルが父の持っていた恐怖の兜をかぶり、剣フロッティを取って、分け前を求めるレギンを追い払ったと語る。ファーヴニルはグニタヘイズの荒野に住みかを作り、蛇の姿になって黄金の上に横たわった。

シグルズとの戦い

レギンにけしかけられたシグルズは、ファーヴニルが水を飲みに這っていく道に穴を掘った。長いひげの老人が現れ、血を流しこむ穴をいくつも掘り、その一つに座って竜の心臓を突けと助言して消えた。竜が這ってくると大地が揺れ、竜は行く手に毒を吹いたが、シグルズは恐れず、穴の上を通る竜の左の肩の下へ、剣グラムを柄まで突き刺した。

致命傷を負ったファーヴニルは、おまえは誰か、誰にけしかけられたかと問い、シグルズと言葉を交わした。ファーヴニルは、兄弟レギンが自分の死をもたらしたように、おまえの死ももたらすだろう、そしてこの黄金はおまえの破滅になる、と告げて死んだ。シグルズはファーヴニルの住みかで、たくさんの黄金と剣フロッティ、恐怖の兜、金の鎖帷子を見つけた。

「ファーヴニル殺し」の名

この竜を倒したことから、シグルズは「ファーヴニル殺し」と呼ばれるようになった。竜の心臓を焼いたシグルズがその血を口にして鳥の言葉を知る話は、ファーヴニルの死に続いて語られる。

登場する物語

関連する事典項目

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出典

  1. スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
    原題
    Skáldskaparmál
    該当箇所
    作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
    参照訳
    Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)

    2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。

  2. 『ヴォルスンガ・サガ』
    原題
    Völsunga Saga: The Story of the Volsungs and Niblungs
    該当箇所
    I–XLIII。1888年版の章立てを起点とする
    参照訳
    Eiríkr Magnússon and William Morris; edited by H. Halliday Sparling, Walter Scott (1888)

    2026-10-28、章立てと目次を確認。サガ本文を全章照合した記録ではない。エッダの英雄詩や大陸のニーベルンゲン伝承を同一版として混ぜない。