ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
レギン
Reginn
フレイズマルの息子で、竜ファーヴニルの弟。鉄や金銀の細工にすぐれ、シグルズの養父として剣グラムを鍛えた。竜を倒させたあと、シグルズを欺こうとして首をはねられた。
フレイズマルの三男
レギンは、力のある裕福な男フレイズマルの三男である。『ヴォルスンガ・サガ』で、レギン自身がシグルズにこう語る。長男はファーヴニル、次男はオッタルで、自分はいちばん劣っていたが、鉄や銀や金の細工にはたけていた。オッタルは昼のあいだカワウソの姿で川に住んでいたが、旅の途中のオーディン、ロキ、ヘーニルの前で、ロキの投げた石に打たれて死んだ。
フレイズマルは償いとして、カワウソの皮を金で満たし、外も覆うよう神々に求めた。ロキが小人アンドヴァリから奪った黄金と、持つ者を滅ぼすと呪われた腕輪がその償いに当てられた。レギンの話では、そのあとファーヴニルが父を殺して黄金を独り占めにし、竜となって宝の上に横たわった。レギンは遺産も兄弟の償い金も得られず、王のもとで鍛冶になったという。
シグルズの養父
レギンはヒャールプレク王のもとで、シグルズの養父となった。盤上の遊び、ルーンの知識、多くの国の言葉など、王子の学ぶあらゆる技を教え、やがてシグルズに、グニタヘイズの荒野に横たわるファーヴニルを倒せばたくさんの富と名誉が得られると勧めた。
シグルズのためにレギンが鍛えた剣は、二度とも金床に打ちつけると折れた。シグルズが母から父シグムンドの剣のかけらを受け取ってくると、レギンはそれで剣グラムを作った。グラムは金床を台まで断ち割っても欠けず、川上へ投げた羊毛の房を流れの中で二つに断ち切った。
竜の心臓
シグルズがファーヴニルを倒すと、レギンは、兄弟を殺されたと嘆いてみせた。そしてファーヴニルの血を飲み、竜の心臓を焼いて自分に食べさせてくれと頼んだ。焼けたかを試したシグルズが指をなめて竜の血を口にすると、鳥の言葉が分かるようになった。鳥たちは、レギンがシグルズを欺こうとしていると語った。シグルズは剣グラムでレギンの首を切り落とした。
資料による違い
『散文のエッダ』「詩語法」でも、カワウソの償いのあと、ファーヴニルとレギンが黄金を求め、父フレイズマルを殺したと語られる。そこでは、ファーヴニルが分け前を拒んでレギンを追い払い、レギンはヒャールプレク王の鍛冶となってシグルズを養う。サガではレギン自身が、父を殺したのはファーヴニルだと語っている。
登場する物語
- アンドヴァリの黄金と呪い――カワウソの償い神々がカワウソと思って殺したのは、レギンの兄弟オッタルだった。父フレイズマルが求めた償いは、皮を黄金で満たし覆うこと。ロキが小人アンドヴァリから奪った黄金と腕輪には、持つ者すべてを滅ぼす呪いがかけられていた。
- シグルズと竜ファーヴニル竜ファーヴニルが水を飲みに這う道で、シグルズは穴を掘って待ち伏せる。現れた老人の助言どおり血を流す穴をいくつも掘り、グラムで竜の心臓を突いた。死にゆく竜は名を問い、黄金の呪いを告げ、二人は最後の問答を交わす。
- 剣グラムとグリーピルの予言レギンの鍛えた剣は二度とも金床で折れた。シグルズが母から父の折れた剣のかけらを受け取ると、レギンは刃に炎が走るような剣を鍛えあげる。剣グラムを得たシグルズは、伯父グリーピルを訪ねて自分の運命のすべてを聞く。
- 鳥の言葉とレギンの結末竜の心臓を焼いていたシグルズは、指についた血をなめた途端、鳥たちの言葉が分かるようになる。鳥たちはレギンのたくらみを告げ、炎の館に眠る乙女のことを歌った。シグルズはレギンを討ち、竜の黄金を馬グラニに積んで旅立つ。
- 父の仇を討つシグルズ――嵐の海の老人剣グラムを手にしたシグルズは、竜より先に父シグムンドの仇を討つと決め、大船団で海へ出る。嵐のなか岬の岩から乗りこんだ謎の老人は、戦いの前兆を語って消えた。シグルズはフンディングの息子たちを討ち果たす。
- シグルズの成長と馬グラニ亡き父シグムンドの子シグルズは、デンマークのヒャールプレク王の館で育ち、鍛冶の名手レギンに学ぶ。森で出会った長いひげの老人の助けで、スレイプニルの血を引く馬グラニを選んだシグルズに、レギンは竜ファーヴニルの黄金の話をもちかける。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
- 『ヴォルスンガ・サガ』
- 原題
- Völsunga Saga: The Story of the Volsungs and Niblungs
- 該当箇所
- I–XLIII。1888年版の章立てを起点とする
- 参照訳
- Eiríkr Magnússon and William Morris; edited by H. Halliday Sparling, Walter Scott (1888)
2026-10-28、章立てと目次を確認。サガ本文を全章照合した記録ではない。エッダの英雄詩や大陸のニーベルンゲン伝承を同一版として混ぜない。
