ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
ヴァーリ
Váli
オーディンとリンドの息子。生まれて一夜でバルドルの仇を討つとうたわれる。世界の終わりを生きのび、新しい世界でヴィーザルとともに神々の住まいに住む。
オーディンとリンドの子
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」は、アーリまたはヴァーリと呼ばれる神を、オーディンとリンドの息子で、戦いに大胆な、きわめて運のよい射手だと紹介する。「詩語法」はヴァーリを「オーディンとリンドの息子」「フリッグの継子」「アース神族の兄弟」「バルドルの仇を討つ者」「ヘズの敵にして殺した者」などと言い換える。
バルドルの仇討ち
『古エッダ』の「バルドルの夢」では、オーディンに呼び起こされた巫女が、リンドが西の館ヴェストルサリルでヴァーリを生むと告げる。オーディンのその息子は生まれてわずか一夜で戦い、バルドルを殺した者を火葬の炎へ運ぶまで、手も洗わず髪もとかさないという。「巫女の予言」も、バルドルの兄弟がまもなく生まれ、一夜で戦ったとうたい、「ヒュンドラの歌」は、ヴァーリがすばやく兄弟を殺した者を討って仇を返したとうたう。
新しい世界
世界の終わりのあと、ヴィーザルとヴァーリは生きのびる。「ギュルヴィたぶらかし」によれば、二人は海にもスルトの炎にも害されず、かつてアースガルズのあったイザヴォッルに住む。「ヴァフスルーズニルの言葉」でも、スルトの火が消えたあと、ヴィーザルとヴァーリが神々の住まいに住むとうたわれる。
同じ名をもつロキの息子
ロキの息子にもヴァーリという名の者がいる。「ギュルヴィたぶらかし」では、ロキが縛られるとき、アース神族がこのヴァーリを狼に変え、兄弟ナルヴィを引き裂かせる。「ロキの口論」末尾の散文では、ロキはこのヴァーリの腸で縛られる。名は同じだが、オーディンの息子のヴァーリとは別の人物である。
登場する物語
- バルドルが見た不吉な夢――死者の国の巫女神々の愛するバルドルが不吉な夢を見た。オーディンはスレイプニルに乗って死者の国へ下り、墓に眠る巫女を呪文で呼び起こす。名を偽って問いを重ねるうち、バルドルの運命と、巫女の正体が明らかになっていく。
- フレイヤとヒュンドラ――オッタルの系譜女神フレイヤは洞窟の女巨人ヒュンドラを起こし、お気に入りの若者オッタルの先祖を語らせる。金の猪に乗る女神と、皮肉を返す女巨人。長い系譜と小さな世界の予言のあと、二人は激しい言葉を交わして別れる。
- オーディンとヴァフスルーズニルの知恵比べ名を偽って巨人の館を訪れたオーディンは、首を賭けた問答に挑む。世界の始まりから神々の滅びのあとまでを問い合った末、最後の一問で巨人は客の正体を悟る。
- 滅びのあとに生まれ変わる世界スルトの火が消えたあと、大地はふたたび緑のまま海から浮かび上がる。生き残った神々、死者の国から帰るバルドル、森に隠れて炎をしのいだ二人の人間、そして母の道をたどる太陽の娘。神々の黄昏のあとの世界を語る。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。





