ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
ヨトゥンヘイム
Jötunheimr
巨人たちの住む国。ロキの子らが育てられ、トールやオーディンがしばしば訪れて巨人と争う。物語の多くでは「巨人の国」と呼ばれる。
巨人の住む所
ヨトゥンヘイムは巨人の国である。『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」は、夜の父である巨人ナルヴィがヨトゥンヘイムに住んでいたと語り、ロキが三人の子をもうけた女巨人アングルボザもヨトゥンヘイムにいたとする。神々は、その子らが巨人の国で育てられていると知って連れて来させた。
同じ書物は、神々が鍛冶をして金を豊かに作った黄金の時代が、ヨトゥンヘイムから来た女たちによって終わったとも語る。バルドルの船を押し出すために呼ばれた女巨人ヒュロッキンも、ヨトゥンヘイムから来た。
神々の訪問
巨人の国は、神々の旅の行き先としてたびたび語られる。「詩語法」では、オーディンがスレイプニルに乗ってヨトゥンヘイムの巨人フルングニルを訪ね、馬比べを始める。トールが東へ巨人を討ちに出かける話や、ウトガルザ・ロキの城を訪ねる話も、巨人の住む土地への旅である。
神々は世界を作ったとき、大地のまわりの海辺の土地を巨人の住まいとして与えた、と「ギュルヴィたぶらかし」は語るが、その土地をヨトゥンヘイムと名指してはいない。
登場する物語
- フェンリルを縛った紐――テュールの右手日ごとに大きくなる狼フェンリルを、神々は鉄の戒めで縛ろうとしたが果たせない。最後に用いたのは、絹のように柔らかな紐と、一人の神が差し出した右手だった。
- イズンと林檎――老いていく神々鷲に捕らえられたロキは、放してもらう代わりに、林檎を守る女神イズンを神々の国の外へ誘い出すと誓う。イズンが連れ去られると、神々はたちまち老いはじめた。
- ロキの三人の子ども――狼と大蛇とヘルロキと女巨人アングルボザのあいだに生まれた三人の子は、神々に大きな災いをもたらすと予言されていた。オーディンは子らを連れてこさせ、大蛇を海へ、ヘルを死者の国へ投じ、狼だけを手もとで育てる。
- トールのウトガルザ・ロキ訪問――勝てなかった技比べ巨人の国を目指したトールの一行は、手袋の中で夜を明かし、ウトガルズの城で技比べに挑む。飲み角、猫、老女――どれにも勝てなかった雷神に、城の王は最後に仕掛けを明かす。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
