ENCYCLOPEDIA · 北欧神話

ヘル

Hel

ロキと女巨人アングルボザの娘。オーディンによってニヴルヘイムへ投げこまれ、病や老いで死んだ者たちに住まいを割り当てる力を与えられた。彼女が治める死者の国も、同じ名で呼ばれる。

ロキの子

ヘルは、ロキが巨人の国の女巨人アングルボザとのあいだにもうけた三人の子の一人で、きょうだいは狼フェンリルとミズガルズの大蛇ヨルムンガンドである。『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、神々は予言によって、この一族から大きな災いが来ると知った。そこで万物の父オーディンは子どもたちを連れて来させ、ヘルをニヴルヘイムへ投げこんだ。

オーディンはヘルに、九つの世界を治める力、すなわち送られてくる者たち――病や老いで死んだ人々――に住まいを割り当てる力を与えた。ヘルはそこに大きな領地をもち、その壁はとても高く、門は大きい。館の名は「みぞれの冷たさ」、皿は「飢え」、小刀は「飢饉」、下男は「怠け者」、下女は「のろま」、入口の敷居は「つまずきの穴」、寝床は「病」、寝床の幕は「輝く災い」という。ヘルの体は半分が青黒く、半分が肉の色なので、すぐに見分けがつく。顔つきはひどく険しく、恐ろしい。

バルドルとヘル

バルドルが死んだあと、ヘルの国を訪ねたヘルモーズは、ヘルの館の高座にバルドルが座っているのを見た。ヘルモーズがバルドルを返してほしいと頼むと、ヘルは、バルドルが言われるほど皆に愛されているか試そう、世のすべてのもの、生きているものも死んだものも彼のために泣けば帰すが、一つでも拒むか泣かなければ自分のもとにとどめる、と答えた。女巨人セックだけが泣かなかったため、バルドルはヘルのもとに残った。「詩語法」は、バルドルとヘズをどちらも「ヘルの仲間」と言い換えている。

世界の終わりの戦いについて「ギュルヴィたぶらかし」は、ヘルの勇士たちがみなロキに従うと語る。

人の名と国の名

資料では「ヘル」の名が、この女主人と、彼女が治める死者の国の両方に使われる。「ヘルへの道」「ヘルの門」のように場所を指す場合もあり、どちらの意味かは文脈で読み分ける必要がある。『古エッダ』の「バルドルの夢」では、オーディンがニヴルヘルへ下ってヘルの高い館に着く。この項目は人物としてのヘルを扱う。

登場する物語

関連する事典項目

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出典

  1. スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
    原題
    Gylfaginning
    該当箇所
    作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
    参照訳
    Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)

    2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。

  2. スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
    原題
    Skáldskaparmál
    該当箇所
    作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
    参照訳
    Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)

    2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。

  3. 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
    原題
    The Poetic Edda
    該当箇所
    作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
    参照訳
    Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)

    2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。