ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
ヘルモーズ
Hermóðr
オーディンの息子で、「豪胆な」と呼ばれる。バルドルの死後、スレイプニルに乗ってヘルの国へ行き、バルドルを帰してくれるようヘルに頼んだ。
ヘルの国への使い
ヘルモーズはオーディンの息子で、『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」では「豪胆なヘルモーズ」と呼ばれる。バルドルが死んだあと、フリッグが、ヘルの国へ馬で行ってバルドルを取り戻す者を求めると、ヘルモーズがこの使いを引き受けた。オーディンの馬スレイプニルが引き出され、ヘルモーズはそれに乗って駆け出した。
ヘルモーズは九夜のあいだ、暗く深い谷を何も見えないまま進み、ギョッル川に着いて、輝く金で葺かれたギョッルの橋に乗った。橋を守る乙女モーズグズは、昨日は死者の五つの群れが渡ったが、おまえ一人のほうが橋がとどろく、死者の顔色でもない、と言い、ヘルへの道は下へ、北へ向かうと教えた。
ヘルの門に着くと、ヘルモーズは馬の腹帯を締め直して拍車を当て、スレイプニルは門に触れもせずに跳び越えた。館では兄弟バルドルが高座に座っていた。ヘルモーズは一夜をそこで過ごし、朝、アース神族がどれほど泣いているかを語って、バルドルを連れ帰らせてほしいとヘルに頼んだ。ヘルは、世のすべてのものがバルドルのために泣けば帰すと答えた。
ヘルモーズは、バルドルがオーディンに送る腕輪ドラウプニルと、ナンナがフリッグとフッラに送る贈り物を携えてアースガルズへ戻り、見聞きしたことをすべて告げた。
『古エッダ』のヘルモーズ
『古エッダ』の「ヒュンドラの歌」2節には、オーディンがヘルモーズに兜と鎖帷子を与えたとうたわれる。ベロウズの訳注は、この名を『散文のエッダ』でヘルの国へ遣わされるオーディンの息子と結びつけているが、詩そのものはそれ以上を語らない。
登場する物語
- バルドルの死――ヤドリギの矢不吉な夢を見たバルドルのため、フリッグはあらゆるものに彼を傷つけないと誓わせる。神々はその不死身を遊びにしたが、ただ一つ誓いを求められなかったヤドリギを、ロキが盲目のヘズに射させた。神々と人間に起きた最大の不幸と、その火葬までを語る。
- フレイヤとヒュンドラ――オッタルの系譜女神フレイヤは洞窟の女巨人ヒュンドラを起こし、お気に入りの若者オッタルの先祖を語らせる。金の猪に乗る女神と、皮肉を返す女巨人。長い系譜と小さな世界の予言のあと、二人は激しい言葉を交わして別れる。
- ヘルの国へ向かったヘルモーズバルドルを取り戻すため、ヘルモーズはスレイプニルに乗り、九夜をかけて死者の国へ向かう。ヘルが示した条件は、世界のすべてのものがバルドルのために泣くこと。ほとんどすべてが泣いたが、洞窟の女巨人だけが涙を拒んだ。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。
