ENCYCLOPEDIA · 北欧神話

テュール

Týr

アース神族の大胆な神。狼フェンリルを縛るとき、偽りのない証しとして右手を狼の口に入れ、その手を失った。

最も大胆な神

テュールは、アース神族の神である。『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」は、テュールを最も大胆で心の強さにすぐれ、戦いの勝利に大きな力を持つ神として紹介し、勇ましい者が呼びかけるのによいと語る。

人にまさって揺るがない者を「テュールのように勇敢」、最も賢い者を「テュールのように賢い」と言う言い回しもあったという。

狼の口に入れた右手

テュールの大胆さの証しとして語られるのが、狼フェンリルを縛った出来事である。神々のもとで育てられた狼に、餌を与えに近づく勇気があったのはテュールだけだった。

神々が魔法の紐グレイプニルで狼を縛ろうとしたとき、狼は解いてもらえると信じず、偽りのない証しとして誰かの手を口に入れるよう求めた。誰も手を失いたがらないなか、テュールが右手を差し出した。狼が縛られると、神々はみな笑ったが、テュールだけは笑わなかった。神々が狼を解かなかったため、狼はテュールの手を、いま「狼の関節」と呼ばれる所で噛み切った。

そのためテュールは片手であり、人々の仲裁者とは呼ばれない、と同じ書物は記している。

登場する物語

関連する事典項目

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出典

  1. スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
    原題
    Gylfaginning
    該当箇所
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    参照訳
    Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)

    2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。