ENCYCLOPEDIA · 北欧神話

ヨルズ

Jörð

トールの母。名は「大地」を意味し、資料では大地そのものとも、オーディンの妻とも語られる。親については、オーディンの娘とする記述と、「夜」とアンナルの娘とする記述がある。

トールの母

『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」は、トールの母ヨルズを、ヴァーリの母リンドとともにアース神族の女神に数える。「詩語法」はトールを「オーディンとヨルズの息子」と言い換える。ヨルズという名は「大地」を意味し、英訳も大地(Earth)と訳している。

二つの系譜

「ギュルヴィたぶらかし」には、ヨルズの生まれについて異なる記述が並ぶ。第9章は、大地はオーディンの娘であり妻で、オーディンはこの大地に最初の息子トールをもうけたとする。

続く第10章では、巨人ノルヴィ(またはナルヴィ)の娘である「夜」が、まずナグルファリとのあいだに息子アウズを、次にアンナルとのあいだに娘ヨルズを生む。最後にアース神族の一族の男とのあいだに生まれたのが「昼」である。資料はこの二つの系譜を結びつけて説明していない。

詩の言い換え

「詩語法」は、詩で大地を言い換える呼び名を並べる。ユミルの肉、トールの母、オーナルの娘、オーディンの花嫁、フリッグとリンドとグンロズの相妻、シヴの義母、夜の娘、アウズと昼の姉妹などである。

引かれる詩では、大地が「巨人の敵の母」「オーディンの花嫁」と呼ばれ、王が国土を手に入れることを、オーディンの花嫁である大地をめとることとしてうたう例もある。詩では、土地としての大地とトールの母ヨルズが同じ名で呼ばれている。

『古エッダ』のトールの母

『古エッダ』の「ロキの口論」では、トールが宴に現れると、ロキが「大地の息子」が来たと言う。「ハールバルズの歌」では、母のフィョルギュンが息子トールを見つけるとうたわれ、英訳者ベロウズの注は、このフィョルギュンをヨルズのことと解している。フィョルギュンの名は、「ギュルヴィたぶらかし」ではフリッグの父の名としても出てくる。

登場する物語

関連する事典項目

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出典

  1. スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
    原題
    Gylfaginning
    該当箇所
    作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
    参照訳
    Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)

    2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。

  2. スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
    原題
    Skáldskaparmál
    該当箇所
    作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
    参照訳
    Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)

    2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。

  3. 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
    原題
    The Poetic Edda
    該当箇所
    作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
    参照訳
    Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)

    2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。