ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
シヴ
Sif
トールの妻で、弓の神ウルの母。ロキに髪をすべて切られ、小人が作った金の髪を得た。そのため詩では、黄金を「シヴの髪」と言い換える。
トールの妻
シヴはトールの妻である。『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」は、弓とスキーにすぐれた神ウルを、シヴの息子でトールの継子と紹介する。「詩語法」は、シヴを「トールの妻」「ウルの母」「美しい髪の女神」「ヤールンサクサとともにトールの妻である者」「スルーズの母」と言い換える。
金の髪
「詩語法」は、なぜ黄金が「シヴの髪」と呼ばれるのかを説明する話を伝えている。ロキがいたずら心からシヴの髪をすべて切り落とすと、トールはロキを捕らえて骨をすべて砕こうとした。ロキは、黒いエルフに、ほかの髪と同じように伸びる金の髪を作らせると誓った。
ロキが訪ねたイーヴァルディの息子たちと呼ばれる小人は、その髪と、船スキーズブラズニルと、のちにオーディンのものとなる槍グングニルを作った。続く小人ブロックとの賭けでは、ロキが神々にこれらの宝を差し出し、トールにはシヴのための髪を与えた。その髪は、シヴの頭に載ればすぐに肉に根づいて伸びるという。
ほかの物語のシヴ
「詩語法」のトールとフルングニルの話では、酔った巨人フルングニルが、神々を皆殺しにしてフレイヤとシヴだけを連れて帰ると大言する。『古エッダ』の「ロキの口論」では、シヴがロキに水晶の杯で蜜酒を注ぎ、神々のなかで自分だけは咎がないと言うが、ロキはそれも否定する。「ハールバルズの歌」では、渡し守ハールバルズがトールをからかって、シヴには家に愛人がいると言う。これらは口論や嘲りの詩の中の言葉である。
登場する物語
- 神々の宝物が生まれた日――シヴの髪と小人の賭けロキがシヴの髪を切り落としたことから、小人たちの鍛冶場で神々の宝物が次々に生まれる。自分の首を賭けたロキと、ふいごを吹き続けた小人ブロック。最後に最もすぐれた宝と認められたのは、トールの槌だった。
- ロキの口論――エーギルの宴の騒動海の巨人エーギルの館の宴に、追い出されたロキが戻ってくる。席を求めたロキは、神々と女神たちに次々と悪口を浴びせ、最後に現れたトールの槌の脅しの前で、ようやく館を去る。『古エッダ』の「ロキの口論」。
- トールと渡し守ハールバルズの言い争い東の旅から帰るトールは、海峡の向こう岸の渡し守に舟を出せと呼びかける。ハールバルズと名のる渡し守は渡しを拒み、二人は互いの手柄と恥をぶつけ合う。最後までトールは向こう岸へ渡れない。
- トールとフルングニルの決闘――頭に残った砥石馬比べからアースガルズへ入りこみ、酔って大言を吐いた巨人フルングニル。トールは初めての一騎打ちに臨み、槌で巨人を倒すが、砕けた砥石のかけらは今もトールの頭に刺さったままだという。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。
