ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
ギンヌンガガプ
Ginnungagap
世界が形づくられる前、冷気と熱気の世界のあいだにあった広大な空間。
世界が形づくられる前
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」は、『古エッダ』「巫女の予言」の詩節を引いて世界の始まりを語る。そこには砂も海も冷たい波もなく、大地もその上の天もなく、草はどこにも生えていなかった。あったのは大きく口を開けた空間だけであり、これがギンヌンガガプである。
北の霜と南の熱
ギンヌンガガプの北には霧と寒さの世界ニヴルヘイムが、南には燃えさかる世界ムスペルがあった。北から流れてくる川には毒が混じっていた。川は源から遠く離れるうちに固まって氷となった。毒から立ちのぼったしぶきは凍って霜となり、霜の上にさらに霜が重なって、ギンヌンガガプの北側を重い氷と霜で埋めた。南側は、ムスペルから飛んでくる火の粉や燃えるかたまりに照らされていた。
ユミルが生まれた場所
北からは寒さが、南からは熱さが押し寄せる一方で、ギンヌンガガプは風のない空気のようにおだやかだったという。やがて熱い息吹が霜に触れると、霜は解けてしたたり落ちた。熱を送ったものの力によって、そのしずくに命が宿り、人の姿となった。これが巨人ユミルである。霜の巨人の一族は、このユミルから出たとされる。
登場する物語
関連する事典項目
出典
- 『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」第4〜5章
- 原題
- Gylfaginning 4–5
- 該当箇所
- 世界の始まり、ニヴルヘイム、ムスペル、ギンヌンガガプ、ユミルの誕生
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur (1916), The Prose Edda
第4〜5章の区切りは参照版に従う。
- 『古エッダ』「巫女の予言」冒頭・世界創造以前の節
- 原題
- Völuspá, stanza 3 (edition-dependent)
- 該当箇所
- 海も大地も空もない時代、ギンヌンガガプ
- 参照訳
- Cited in Gylfaginning 4; compare Bellows (1923)
『ギュルヴィたぶらかし』が該当詩節を引用。節番号や表現は版によって異なる。