ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
シャールヴィ
Thjálfi
トールが泊まった農夫の息子。山羊の骨を割った償いとして、きょうだいのレスクヴァとともにトールの従者になった。誰よりも足が速い。
トールの従者になったいきさつ
シャールヴィは、トールが旅の途中で一夜の宿を借りた農夫の息子である。農夫には娘のレスクヴァもいた。参照した英訳は二人を息子と娘と記すだけで、どちらが年上かは書いていない。
『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」によれば、トールはその夜、自分の山羊を殺して煮て、農夫の一家を食事に招き、骨は山羊の皮の上に投げるようにと言った。ところがシャールヴィは、腿の骨を小刀で割って髄を取った。
夜明け前、トールが槌で皮を清めると山羊はよみがえったが、一頭は後ろ脚を引きずっていた。怒ったトールに、一家は和を請い、持ち物すべてを差し出した。怒りがおさまったトールは、償いとしてシャールヴィとレスクヴァを受け取った。二人はトールの従者となり、以来つき従っているという。
思考との駆け比べ
シャールヴィは誰よりも足が速く、巨人の国への旅ではトールの袋を担いだ。
ウトガルズの城で、シャールヴィはフギという若者と三度走り、三度とも大きく引き離された。王ウトガルザ・ロキは、ここへ来た者でこれより足の速い者はいなかったとも言っている。
あとで王が明かしたところでは、フギは王の思考だった。シャールヴィが速さで思考に並べるはずはなかったのである。
登場する物語
- トールとゲイルロズの館鷹の姿で捕まったロキは、命と引きかえに、トールを槌も持たせず巨人ゲイルロズの館へ連れていくと誓う。女巨人グリーズに道具を借りたトールは、増水する川を渡り、持ち上がる椅子と灼けた鉄の棒をしのぐ。
- トールとフルングニルの決闘――頭に残った砥石馬比べからアースガルズへ入りこみ、酔って大言を吐いた巨人フルングニル。トールは初めての一騎打ちに臨み、槌で巨人を倒すが、砕けた砥石のかけらは今もトールの頭に刺さったままだという。
- トールのウトガルザ・ロキ訪問――勝てなかった技比べ巨人の国を目指したトールの一行は、手袋の中で夜を明かし、ウトガルズの城で技比べに挑む。飲み角、猫、老女――どれにも勝てなかった雷神に、城の王は最後に仕掛けを明かす。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
