ENCYCLOPEDIA · 北欧神話
シギュン
Sigyn
ロキの妻。神々に縛られたロキのそばに立ち、顔に滴り落ちる蛇の毒を鉢で受けとめつづける。
ロキの妻
シギュンはロキの妻で、二人のあいだにはナリ(ナルヴィとも)という息子がいる、と『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」は語る。「詩語法」で海の神エーギルを迎えた宴の席に並ぶ女神たちのなかにも、シギュンの名がある。
毒を受ける鉢
バルドルの死のあと、神々はロキを捕らえて洞窟へ運び、三つの平たい石の上に縛りつけた。スカジは毒蛇をロキの上に留め、毒がロキの顔に滴るようにした。けれどもシギュンはそばに立ち、毒の滴を鉢で受けとめている。鉢がいっぱいになると捨てに行くが、そのあいだ毒はロキの顔に落ち、ロキが激しく身をよじるので大地全体が震える。人々はそれを地震と呼ぶ。ロキは神々の運命の時まで、そこに縛られて横たわる。
『古エッダ』の「ロキの口論」末尾の散文も、シギュンが杯で毒を受けとめたと語る。ただし、ロキを縛った腸の持ち主や狼に変えられた息子の名は、「ギュルヴィたぶらかし」と食い違う。「巫女の予言」(ベロウズ訳35節)では、巫女が森に縛られた者を見て、そのそばにシギュンが座るが、夫を見ても喜ばない、とうたう。
登場する物語
- ロキの捕縛と罰バルドルを死なせ、ヘルから取り戻すことも妨げたロキは、神々の怒りを逃れて山に隠れ、鮭の姿で滝にひそむ。自分で考えた網の灰から居場所を見破られたロキは、トールの手に捕らえられ、神々の運命の時まで岩に縛られる。
- ロキの口論――エーギルの宴の騒動海の巨人エーギルの館の宴に、追い出されたロキが戻ってくる。席を求めたロキは、神々と女神たちに次々と悪口を浴びせ、最後に現れたトールの槌の脅しの前で、ようやく館を去る。『古エッダ』の「ロキの口論」。
- ロキの三人の子ども――狼と大蛇とヘルロキと女巨人アングルボザのあいだに生まれた三人の子は、神々に大きな災いをもたらすと予言されていた。オーディンは子らを連れてこさせ、大蛇を海へ、ヘルを死者の国へ投じ、狼だけを手もとで育てる。
関連する事典項目
出典
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 原題
- Gylfaginning
- 該当箇所
- 作品全体。記事ごとの章節は制作記録で特定する
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため目次と一部本文を確認。全記事の本文照合済みを意味しない。既存の章別出典レコードは変更しない。
- スノッリ・ストゥルルソン『散文のエッダ』「詩語法」
- 原題
- Skáldskaparmál
- 該当箇所
- 作品全体。章番号はBrodeur訳に従い、他版の番号と混同しない
- 参照訳
- Arthur Gilchrist Brodeur, The Prose Edda (1916)
2026-10-28、収録計画のため一部本文を確認。グングニルと神器の製作はこの版の第35章。フロールヴ・クラキは第43章。個別記事の照合は別に記録する。
- 『古エッダ』Bellows訳・神々の歌と英雄詩
- 原題
- The Poetic Edda
- 該当箇所
- 作品別の詩名・節を本文制作時に特定する
- 参照訳
- Henry Adams Bellows, The Poetic Edda (1923)
2026-10-28、収録目次を確認。詩ごとの本文確認は未実施。既存の採用詩の章別レコードは維持する。
